広告制作の忙しさについて考える(1年目8月版)

こんにちは。
ふらろです。
ご無沙汰。

 

あ〜〜、「おや、この感染症騒ぎ、思ったよりオオゴトかも…?」と感じていた頃のことが信じられない。

20卒の皆さんはどういう研修スケジュールでしたか?
僕の会社は2ヶ月間の在宅中に簡易的な研修を受けた後、6月からは普通にOJTでした。
ホワイトカラーって全てOffJTでミッチリ仕事内容叩き込んでから世間に放り出されるものだと思ってました(ド偏見)が、全然違いましたねぇ…。


さて、以前も(別ブログで)書いたとおり、僕は広告制作会社に勤めております。
楽しく働きたいと考えた上で自分の内面と向き合って決めた職場でしたが、やはり「広告業界はハード」で過労死する人もいるというイメージはあったので、それを卒論のテーマにして原因を追い求める在学期間もありました。
まぁ代理店と制作会社では当然業務内容が大きく異なるわけですが、その地続きに3ヶ月ほど身を置いている立場から、広告業界が過酷になりがちな理由を考えてみました。

 

これまで働いていて最も印象的なのが、”伝言ゲームの連続”。
前提として仕事の流れを話しますと、まずクライアント(広告主)から依頼を受けた広告代理店は、クライアントの予算と希望に合わせてコンテンツを企画。そしてそれらの広告を打つTV局などの枠を買います。
TV局や新聞、鉄道会社などは、各々が持つ広告枠を使ってくれる広告主が欲しい。それらを代理で見つけてきてくれるのが広告代理店。広告主からすれば、適当な広告の枠を見つけてきてくれる上に企画制作も請け負ってくれるのが広告代理店です。後者の役割の存在感が増してきたことにより、最近は広告代理店ではなく広告会社と呼ばれることも多いですね。

そんな代理店から「こんな案件が来ててこういう企画でやろうと思ってるから、一緒に作ろうよ」と声がかかるのが広告制作会社です。
映像制作には多くの人が関わります。演出をしてくれるディレクター(監督)、カメラマン(撮影部)、ライトマン(照明部)、音響、美術、ヘアメイク、スタイリスト…等々。作品の内容や予算によって居たり居なかったりする方もいますが、いずれも重要な仕事。
制作会社によって社内でどれ程の職種をカバーしているかはまちまちですが、こうしたスタッフを取りまとめ、代理店とやり取りをするのが制作会社の仕事です。代理店側を向いているのがプロデューサー(P)、Pと背中合わせで現場スタッフの方を向いているのがプロダクションマネージャー(Pm)といったイメージが分かりやすいかと。

 

伝言ゲーム…そういうことです。
クライアント→代理店→制作会社…と流れてきた案件は、制作会社→ディレクター・カメラマン・ライトマン…とさらに展開されます。
「照明さんはこういった照らし方ができると言っていますが、ディレクターさんどう思います?」
「ディレクターはこういうキャストを希望している。数が多いからキャスティング会社にまとめて頼んで各事務所から候補を出してもらってオーディションをしよう。」といった無数のやり取りが、制作会社以下各スタッフとだけでも存在します。

更に、「ディレクターのこの企画コンテ、どうですか?」と代理店に確認すると、「クライアントはこういう演出嫌いだから、こういう感じの方向で考え直してもらえますか?」と”お戻し”をいただき、何度かその修正のやり取りが発生します。
そしてそれらを乗り越えても、クライアントがNoと言えば代理店・制作会社共々その”お戻し”に対応しなければなりません。
更に更に、最近僕も経験しましたが、クライアントも一枚岩であるはずがなく、クライアントの宣伝部(=代理店とやり取りしている方々)がYesと言っていたものでも、その更に上のお偉方がNoと言えばクライアント(宣伝部)・代理店を通して制作会社までまたまた”お戻し”が来ます。そして制作会社からディレクターなどにもその旨を伝え、一緒に作業するのです。

しかもそのお戻し、21時とかにきて翌朝までに再提出…みたいなスケジュールだったりしますからね。終電を逃してタクシーで帰るしかないこともままあるみたいです。僕はまだ新人なので先に帰されますが(ありがてぇ)。残ったところでその超絶お急ぎの仕事を超速で片づけられるわけではないどころか、わからない部分をいちいち質問していたらむしろお荷物でしょう。そうは言っても帰宅中に罪悪感は強く残りますけどね。

とにかく、こうした無数のやり取り…伝言ゲームの連続が、広告業界の労働時間が長くなりがちな理由のひとつなのかな、というのが最近思っていることです。お戻しが来るまでは深夜だろうと会社に残ってメールをチラチラ見る“待ち”の時間があり、その如何ともし難い拘束時間をうまく使えたらなというのが今の個人的な課題ですかね。
今後も制作会社で働き続ければ、または代理店に勤めていれば仕事の流れがより詳細に見えるのでしょうが、今僕に見えているのはこれだけです。

仕事を辞めたいというわけでもなければ、業界の問題点を指摘したいわけでもありません。
ただただ、「あーだから仕事が多いのか」という感想を抱いただけです。量はともかく内容は楽しいですし。

時間的制約がシビアである理由など、「なんとなく察せるけど自信を持って言えないこと」から全く分からないことまで、様々な論点があります。
これから働き続ける中で、そうした様々な疑問、興味に対して自分なりの回答を出していきたいと思っています。